従業員の「育児・介護」と「仕事」との両立をはかるための取組を行った企業に受給される奨励金となります。1年度で最大120万円まで受給が可能ですが、翌年度も申請が可能。ジョブリターン制度などを組み合わせれば翌年も100万円の受給も狙えますので、総額220万円の受給が可能となります。
奨励金の名前からはイメージしにくいのですが、具体的には
①育児と仕事(&男性の育児)
②介護と仕事
③病気治療と仕事
④ジョブリターン(再雇用)制度
主にこの4つの取り組みの柱があり、中小企業の雇用環境の整備を推進することを目的として始まりました。
東京都の事業所なら業種や会社規模を問わず応募ができます。
簡単な要件をあげると以下の3つですのでセルフチェックしてみてください。
①東京都で事業を営む会社である
②2名以上の雇用保険加入者(うち1名は申請日時点で6か月以上継続して加入していること)がいること
③都税に滞納、未納がない
詳細は募集要項を確認ください。
奨励金の特徴
エントリー
エントリーは毎月開催されます。例年6月から第1回目が始まり、5回目の10月で終了となります。正味5ヶ月間の募集期間となりますので、早めのエントリーが必要になります。
申し込みはEメールのみで受付となります。時間は10時から15時の5時間ですので注意が必要です。
予定者数は令和4年度は600社限定。毎回平均150社前後となります。
事業実施期間は3ヶ月間と短いので、この間に全て取り組まなくてはなりません。
交付申請
エントリーしてから1週間位で当落の連絡がEメールで送られてきます。
すぐに「交付申請」の申請期限となりますので、のんびりしてはいられません。
「交付申請」とは、奨励金を受給してもらうための資格審査(1次審査)です。
申請を行う自社の情報を明らかにすることで、申請企業としての要件を満たしているかどうかが判断されるわけです。
先に挙げたセルフチェックの要件のほか、もう少し詳細をみていきますと
・就業規則を作成して労働基準監督署に届出を行っていること。
届け出を行っていない場合でも交付申請前に届け出を行えば申請は可能です。
ここで注意したいのが、国のルールは常時10人未満の労働者の事業所は届け出が免除されていますが、都奨励金では10人未満の事業所でも必ず届け出をしなければならない、というルールがあることです。
・東京都のホームページへの企業名等の公表に同意すること。過去5年間に重大な法令違反がないこと。
このほかの詳しい要件については、募集要項を参照してください。
提出書類としては
・登記簿謄本
・法人都民税、法人事業税の納税証明書
・会社印鑑証明書
・雇用保険適用事業所設置届
などをはじめとする諸々の書類を揃えて提出する必要があります。
提出書類の詳細については募集要項を参照してください。
交付申請が通りますと、「交付決定通知書」が郵送されてきます。手元に届くのは事業実施期間の開始日以降です。
ここで間違え易いのが、「交付決定通知書」に「〇〇万円」と書いてあるので「もうもらえるんだ!」と勘違いしてしまうことです。そうではなく、「奨励金を受給するための資格のある会社ですよ」という意味での許可証が「決定通知書」になりますのでお間違えなく。
事業実施期間
交付決定通知書が届いたら、決められた3ヶ月の事業実施期間の中で、今度はその奨励金の要件を満たすために、社内の取り組みや制度を作って行かなくてはなりません。
この奨励金制度の場合は様々な取り組みの組み合わせで奨励金の受給額が異なっています。
1年度で最大100万円まで受給が可能ですが、翌年度も別コースで申請が可能。テレワークなどを組み合わせれば90万円の受給も狙えます。

実施期間中にやるべきことは
・社内アンケートを実施する。
・社内2人以上でプロジェクトチームを作る。
・子育て支援や介護支援についてチームで独自の取り組み内容を考える。
・決めたことを社内周知する。または社内研修を実施する。
・文書を社内に掲示したり、研修風景を写真を撮る。
・制度を新たに規定した場合は就業規則を追加変更する。
などが挙げられます。
決まった要件をスケジュールを立てて一つ一つこなしていくことが必要です。
オンライン研修の参加
取り組む内容によってコースを選択し、それぞれ東京都主催のオンライン研修の受講が義務付けられています。1コースにつき1研修を受けなければいけませんので、受給額を増やすには2-3つほど研修を受ける必要があります。
研修はビデオ研修ですので都合のいい日時で視聴可能です。
参加者は経営者か役員、人事労務担当者となります。1つの研修時間は2時間となります。
研修内容はそれぞれ以下の通りです。
・育児と仕事の両立
・男性の育児参加
・介護と仕事の両立
・病気治療と仕事の両立
支給申請
社内の取りの組みなど、要件を満たすための取り込みを実施して初めて2回目の申請である「支給申請」を行うことができます。ここは2次審査・最終審査となりますので、慎重に書類を作成していくことが必要です。
まとめ
この奨励金については、複数の取り組みを実施することで最大100万円(2年で220万円)が獲得できるのですが、複数取り組みを行うと、作業工程もかなり複雑になりますので、スケジュール管理がとても大切です。
また、一番のハードルは、どのような独自の取り組みをしたらいいのか?それを就業規則にどのように落とし込み、規定していけばよいか?と言うことだと思います。
就業規則の届け出も必須となっていますが、慣れていないと、どこにどのように手続きしたらいいのか?というお悩みもあると思います。
わかりにくいのは、東京都の場合、国(厚労省助成金)で定められた就業規則の一般的なルールが通用せず、就業規則の届け出方法、届け出期日、「附則」の記載方法などが厳格にルール化されており、独自のクセがあることです。
この独自ルールとクセを理解しておかないといけません。
なぜなら受給の当否を厳しくジャッジされるケースが出てきており、社労士に相談するにしても、東京都の申請について相当慣れている先生であることが必要だからです。
こうした諸処の問題を解決するために同協会は発足されました。
奨励金の活用でご相談、お悩みがございましたら、東京都奨励金に専門特化した経験豊富な「東京都奨励金活用研究会」までお問い合わせフォームまたはお電話にてご相談ください。
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